Item206 金沢にて
金沢にふらりと行ってきました。昔ながらの町家が残るひがし茶屋街には<山屋>さんという紅茶茶専門店があります。昔のお茶屋さんを改装したという格子の建物の暖簾をくぐって入ると、テーブルが4つだけのこぢんまりとした店内は、とても静かで落ち着ける空間。大きな紅茶缶が奥にずらりと並んでいるのが印象的です。メニューは紅茶が約60種類、ケーキはパウンド・ケーキとチョコレート・ケーキの2種類だけで、本当に紅茶好きのためのお店と言えそう。私が注文したのはアールグレイ・シルバーという、シルバー・チップ(銀色の芯芽)入りの繊細なお茶。攻撃的な強い香りだというアールグレイ・ルージュにも興味を引かれましたが、この日はほっとしたかったのでシルバーのほうを。主人はドアーズという、渋みや苦みが少なくてミルク・ティーに合うお茶を選びました。紅茶は保温カバーをかぶせたポットに入っていて、クッキーと一緒に出されるのがうれしい。これをつまみながら熱いお茶をゆっくりと楽しむことができました。
金沢は、アンティーク雑貨や骨董好きにとってもおもしろい町です。新竪町にある<フェルメール>は、所狭しとイギリスのアンティークが並んだお店。オーナーが男性なので、キッチン雑貨は少なめですが、日常使いできそうなシンプルな雑貨やアクセサリー、道具類などがそろっていて、1つずつじっくり見ていくのが楽しい。ポートベロのマーケットをぎゅっと凝縮したような、味わい深いお店でした。新竪町から犀川を目ざして歩いていくと、川岸の緑地に金沢美術工芸大学の学生さんの彫刻作品が展示されていました。羊の頭がぽつんと置かれているのはびっくりしましたが、よく見ると、緑によく似合っています。イギリスのカントリーサイドのよう。
犀川の向こう岸には、ウィリアム・モリスが新婚時代を過ごしたレッド・ハウスを復元した、金沢ステンドグラス美術館があります。レンガ造りの建物の中に入ってまず目を引かれるのは、モリスの壁紙を張った部屋と、そこに並べられたモリスのグッズ。その左手が教会兼ステンドグラス・ミュージアムになっています。外から見たときにはただの茶色いガラスだったステンドグラスは、中で見ると一変。イギリス、ドイツ、イタリアのものが展示され、順に色が濃くなっていくのが興味深いところ。日があまり当たらないイギリスではガラスの色を薄くしないと、よく見えないのだそうです。逆にイタリアのものはカラフルで、描かれているキリストなどの人物がみんなイケメンなのも印象的。モリスが制作したステンドグラスもあり、彼独特の花や葉などの模様が美しく描かれていて、とても見応えがありました。ミュージアム内は撮影できないのが残念でしたが、ここで働いておられる人たちがうらやましいと思うくらい、すてきな場所でした。
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あれは何年前だったか、外に出ると溶けそうなほどの暑さだった真夏の日、近所で開かれたアンティーク・フェアに行きました。近所といっても、その猛暑の中を15分歩くと汗びっしょりで、汗をぬぐいながら会場をまわっていたとき、この涼しげなジャーを見つけました。こういう感じのグラヴィール彫刻が施されたジャーが前々から欲しかったのと、暑さで頭がぼーっとしていたのとで、値段交渉もそこそこに即購入。まあ、それはよかったのですが、帰りに夕食の買い物もしなければならず、両手に荷物をかかえ、割らないように気をつけながら歩くのは、行きよりはるかに暑くて大変でした。このジャーを見るたび、その暑さを思い出し、つい氷をそこにがんがん放り込んで、冷え冷えのアイスティーを作ってしまうのです。
ネットのアンティーク・ショップで、ときどき小物を買っています。そのショップは毎日決まった時間に商品が更新されるので、今ではそれを見るのが日課になっています。私と同じような人が多いのでしょう、けっこうすぐに売れてしまうので、欲しい物を見つけたら、すぐに注文しなければなりません。先日買った、この白蝶貝ハンドルのサービングフォークもそうでした。1930年代ごろのイギリスのものだそうで、ぽってりした形や、施された彫刻が素敵で、写真を見て一目惚れ。手元に届いてみたら、写真で見るよりさらにかわいらしくて。すぐに銀器用のクリーナーで磨いて、いつでも使える状態にスタンバイ。でも、普段の食事に使うのはもったいないな。これをデビューさせるためにパーティーを開かなくては、と計画中です。
今話題の西宮ガーデンズに先日初めて行ってきました。5月17日から、2F西モールに入っている<The National Trust>で、イギリスの湖水地方関連のイベント(絵の展示と商品の販売)が開かれるということで、その初日に行ってきたのです。いちばんの目当てはファッジでした。チャールズ皇太子お気に入りの<トフィーショップ>のバターファッジが日本初登場ということで。そのお味は、「キャラメルを柔らかくしたもの」という私の予想と違った不思議な食感で、いわば黒砂糖の塊をバター・キャラメル味にしたような感じ。とても甘いのですが、食べ出したら止まらなくなる魔の味(?)でした。第2の目当ては「ハーディー」のグッズ。ハーディーとは、絶滅の危機を乗り越えて湖水地方に生息しているハードウィック種という羊をモチーフにしたキャラクターで、その表情がなんともかわいらしいのです。ハーディーの売り上げの一部は地元の環境保全に使われるということで、ライムグリーンのクラシックマグを購入してきました。持ち手が太くて使いやすいマグで、内側にもハーディーの顔がついているのが気に入っています。今回、3,000円以上購入の先着20人には<グラスミア・ジンジャーブレッド・ショップ>のジンジャーブレッドをプレゼントということで、私もいただきました。これも予想と違った食感で、いわば夜店の生姜板のような感じ。焼いてから日がたつと、そのように少し硬くなるそうですが、フレッシュな生姜の風味が生きていて、とても美味でした。このお店では、セーラ・ネルソンという女性が150年前に作ったジンジャーブレッドのレシピを今も守り続けているそうで、グラスミアにあるお店の建物は、元はワーズワースが教鞭を取ったこともある小学校だったそうです。行列ができるというこのお店に行って、焼きたてのジンジャーブレッドを買いたい。今はそんな夢がふくらんでいます。ちなみに、The National Trustではオリジナル商品のほかに、アンティークや、自由が丘の<ハグオーワー>の洋服なども扱っているので、ついつい財布のひもがゆるみそう。隣の西宮阪急3Fにもアンティークや雑貨好き人間の心をそそるお店があるので、要注意です!
神戸阪急にはこの4月、イギリスの雑貨やアンティークなどを扱う<みなとのてんらんかい>というお店がオープンしました。4月の初めに、もうオープンしてるかな?と行ってみたら、「明日からですよ」とのお答え。その翌日にしっかり行ってきました。なんとも美しい店内で、古きよき英国ムード満点。オリジナルウェアーは着やすそうでデザインも素敵なものばかり。雑貨の品ぞろえも豊富で、とくにキャス・キッドソンは充実しています。厳選されたアンティークにも目を引かれます。これからは神戸阪急に行ったら、まずこのお店をのぞいてみるのが習慣になりそうです。デパ地下を楽しむ人は多いですが、私の場合はデパ英国(?)が楽しみかも。姫路にある本店<English Rose>さんにはティールームもあるそうなので、そちらにもぜひお邪魔したいと思っています。
使い込んだパインの家具が大好きです。イギリスではフラットを借りると家具がついているのが普通で、私が借りたところにはたいていパインの机やチェストがついていました。がっしりしていて使いやすく、使うほどに味が出てくるところがよくて、それまでは家具はぴかぴかで傷のないのがいいと思いがちだった私の考えを変えてくれました。今は、一戸建ての家に引っ越すときが来たら、仕事部屋にアンティーク・パインの大きな机を買って……と夢見ていますが、その機会はなかなか訪れず。でも、数年前にパインの花台を作ってもらいました。電話の子機やPCのモデムなどごちゃごちゃしたものをすっきりとまとめて置ける台が欲しいと思い、家具工房にオーダーして作ってもらったのです。壁と扉との隙間に置けるようサイズを指定し、印鑑やメモなどの小物を入れられる引き出しもつけてもらい、細かいデザインは工房の方にお任せして。できあがりは満足度100パーセントでしたが、惜しむらくは、その工房の連絡先をなくしてしまったこと。とても親切なおじさんが一人でやっていらっしゃる工房で、機会があればまたお願いしたいと思っていたのですが……。
料理はぜんぜん得意ではないけれど、キッチン用品は大好き。とくに、使い終わったジャムの瓶やアンティークの瓶にスパイスなどを入れておくのは気に入っています。数年前、だんだんその瓶が増えてきたので、スパイスラックのようなものが欲しいと思っていたところ、HDC神戸に入っていた雑貨店の閉店セールでThe National Trustの棚を見つけました。ファイヤーキングのジェダイ復刻版ミキシングボウルも安くなっていたので、それとともに購入し、ほくほくして帰ってきたのを記憶しています。以来、そのボウルも、この棚も大活躍してくれて助かっています。とくに、この棚があると、料理が上手な人に見えたりするからいいのです。わが家のキッチンにはそんな品がいっぱいあるような気がします。
みなさん、カレンダー選びはどうされていますか? 私がカレンダーを選ぶときの基準は、あまり大きくないもので(存在感がありすぎるのはいやなので)、でも、遠くからでも見えるよう字は大きめで、日本製のもので(輸入物は休日が違うので)、休日はわかりやすく色分けされていて……といろいろあって、たいていはそのどれかで妥協しないといけないのですが、イギリスに関係があるものという点だけは譲らずにきています。というわけで、今年はウィリアム・モリスのカレンダー。ちょっと字が小さいのが難点ですが、モリスの人気作品が16点も載っているという魅力に負けてしまいました。この写真ではわかりにくいですが、絵の右下には作品の解説が入っているので、使い終わったあと、作品集として保存することも可能です。このカレンダー、シリーズでずっと続いてくれるといいな。
私がイギリスに留学していたころは、まだCDはなくてレコードでした。留学先で毎日イギリスの音楽に浸っていたいけれど、向こうでレコードを買ったら、持って帰るのは大変。ということで、日本から小さなラジカセを持参していき、向こうではカセットを買って音楽を楽しんでいました。近所にあった<Our Price>というお店に出かけてはセール品を買って、どのカセットもすり切れそうになるまで聴いたものです。それらは捨てることができなくて、今も箱に入れて保管し、ときどき取り出しては当時のことを思い出しています。そして、また聴きたくなったものはCDを買い直して。ラジカセも棚の奥にしまったままでしたが、これから主人の祖母がラジオを聴くのに使ってくれることになり、思い出の品がまた活躍してくれることをうれしく思っているこのごろです。
文房具も大好きな私。以前は手紙をよく書いたので、その道具類にも凝っていたのですが、このごろはメールばかり。でも、先日たまたまオークションで見かけたイギリス製のラバースタンプを買ってからは、たまにはこれを使って手紙も出すのもいいなと思い始めています。味気ない形であまり好きではなかった自分のイニシャルも、中世風の装飾文字になると、こんなにきれい。これも棚の奥の飾りにならないよう、大事に使っていこうと思います。
イギリスに留学していたとき、お湯を沸かすのにどこの家庭でも電気ケトルを使っているのを見て、これがあればコンロを鍋専用に使えて便利だなと感心したものでした。日本に帰ったら私も電気ケトルを買おうと思いつつ、結局は、いつでもすぐに熱湯が出てくる電気ポットの便利さに負けて、そちらを愛用してしまっていました。でも、少し前に電気ポットが壊れたのを機に、ついに憧れの電気ケトルに買い換えました。選んだのは、イギリスの代表的な家電ブランドRussell Hobbs(ラッセルホブス)のもの。このケトルのすぐれているところは、まずはその湯沸かしのスピード。カップに1~2杯程度の分量なら、お茶の用意をしているあいだに沸いてしまいます(そのかわり消費電力も大きいですが)。ほかの電気ケトルに比べて容量が1.7リットルと大きいので、来客時でも大丈夫。沸騰後や空焚きをしてしまった場合には、自動的に電源がオフになるので安全だし、コードレスで表面も熱くならず、どこにでも置くことができるのも便利です。そしてデザインがシンプルで、まあるい形がかわいらしい。普通のやかんに似ているので、うっかり火にかけてしまう人も多いと聞きましたが、その場合でも底部を取り替えてくれるそうです(ただ、今はこの形のものはもう販売されておらず、カフェケトル・タイプに変わったようです)。細かいところにまで配慮が行き届いたこのケトルがすっかり気に入ってしまったので、今度は同じメーカーのトースターが欲しいなと思っています。これがまた素敵なんです。これでイギリス風のかりかりトーストを作る日を夢見ている今日このごろです。
主人の両親が以前住んでいた家は、今はほとんど使わなくなり、当時の生活用品などがそのまま残っているのですが、その中に珍しいものを見つけました(それをしっかり私がいただいたのは言うまでもありません)。キング・オブ・キングスというスコッチ・ウイスキーの陶製ボトル(中身は空)です。このお酒は、明治初期からオールド・パーの子会社によって日本へ輸入されるようになったそうで、オールド・パーとほぼ同じ原酒を使用して日本向けに特別にブレンドされたその味は、柔らかで甘く、根強い人気を持っていたそうですが、残念ながら、もうずいぶん前に製造中止になったとか。お酒は弱い私ですが、香りだけでも嗅いでみたかったな。もしかしたら、古いバーなどではまだ飲めるかもしれませんので、ご興味がおありの方は探してみてください。
我が家の玄関を入って最初に目につくブリティッシュ・グッズは、この陶製のポプリ・ポット。たしか、もう何年も前に神戸そごうの催し物会場で衝動買いをしてしまったものです。ナショナル・トラストとロイヤル・ドルトンのコラボ製品というところに気を引かれて買ったと記憶しています。香りの中ではオレンジがいちばん好きな私ですが、このポットの中に入っていたポプリはラベンダーの香り。それなら玄関がいちばん合うかなということで、以来ずっと下駄箱の上で活躍してくれています。なにしろこのポットには蓋がついているので、ポプリに埃がたまりません。なので、ポプリはお掃除や買い換えの必要がなく、香りが薄れたらオイルを垂らすだけ。ものぐさの私にはぴったりです。このポットはこれからもずっと、この網目模様のあいだから爽やかな香りを送り続けてくれることでしょう。
丹波篠山には年に一、二度出かけますが、この秋には兵庫陶芸美術館で「創立250周年記念 ウェッジウッド ヨーロッパ陶磁器デザインの歴史」という展覧会が開かれるということで、今回はその日程に合わせて行ってきました。私がウェッジウッドの食器に興味を持ったのは、青地に白いレリーフ装飾を加えた「ジャスパー」シリーズの美しさに目を引かれたのがきっかけだったのですが、本展ではそのジャスパーウェアが数多く見られて大満足でした。左のチラシに載っているのは、ローマ時代のガラス壷を黒のジャスパーで複製したもの。そのほか、日本ではめったに見ることのできない初期の試作品や、英国で女性初のロイヤルデザイナーとなったスージー・クーパーの作品など、見どころはいっぱい。ウェッジウッドの歴史の深さに感心させられる、充実の展覧会でした。U.K. Postcard Galleryでまたポストカードをご紹介していますので、よろしければご覧ください。
客間にしている和室には大きな壁掛け時計があります。祖父が旅館をしていたころに使っていたものですが、今でもネジさえ巻けば、ちゃんと使えます。でも、それがなかなか面倒で、別に置き時計を買ってしまいました。アンティークショップなどでよく見かけるスミス社のチャールストン・マントルクロックの復刻版です。これなら単3電池1個で動いてくれるし、秒針がないので音も静か。自動車や航空機の部品の製造でも有名なスミス社ですが、時計の製造は、戦後、スイス製や日本製の時計に押されて打ち切られたそうで、それを聞くと複雑な気持ちがしますが、美しい形のこの時計が復活してくれたことはうれしいものです。母が使っていたブリキの衣装箱の上に藍染めのバースデーキルトを敷いて、その上にこの時計と、旅館で使っていた内線電話機を並べて置いたら、いい感じになりました。
初めてイギリスの一般家庭のお宅を訪ねたとき、家具の上に写真立てやクリスマスカードなどがたくさん飾られているのを見て、新鮮な驚きを感じたものでした。自分の部屋もあんなふうにしてみたいと、留学中は写真立てをたくさん買い込んで並べていました。あれはみんなどこへ行ってしまったのか、部屋に今あるのは2つだけ。前の職場の先輩からいただいたリバティのものと、親戚から引き出物でもらったウェッジウッドのもの。どちらもたまたまイギリス製で、うれしかったのを覚えています。今度はなくさないように大切にしなくては。
10年近く前、テニススクールで知り合いになった方が、結婚祝いをくださるというので、マガジンラックをお願いしたら、こんな素敵なのを贈ってくださいました。とくにイギリスが好きと伝えたわけでもないのに、包みを開けてみると、"made in England"の文字。籐とアイアンの組み合わせも綺麗です。ちょうどほかにも籐とアイアンのラックを持っていたので、インテリアの雰囲気を統一できて、うれしくなったものです。あれから10年の時を経て、籐がいい色に変化して、ますます素敵。中に入っている雑誌が実用的なものばかりなので、マガジンラックに合うような、もっとおしゃれなものにしなくてはと思ってはいるのですが。
トアロード沿いに昔からある河南工芸社さんは、私の大好きなお店のひとつ。ヨーロッパの上品なインテリア雑貨や家具が所狭しと並んでいます。ある日、いつものようにふらりと訪れたときに、エリザベス女王の顔がついた珍しい靴べらを見つけました。わっ、イギリス!と思い、すぐに買って帰ったものの、よく考えると、なんだか女王をあしげにするみたいで恐れ多くて使えません。主人は、そんなことは何も思わずに平気で使っていますが。まあ、足に直接当たる部分ではないので、いいかなと思って見ています。
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